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『主婦の友』の廃刊について(5月2日)

かっては100万部を越える隆盛を誇った老舗雑誌「主婦の友」が1日発売の「最終刊号」で休刊になったことについて、女性の多様化の影響があると、今朝の中国新聞で論じられていました。同誌が創刊から91年の歴史に幕を下ろした、ということです。

最近は、部数が低迷し、「主婦の友」が日本に定着させた「主婦」という言葉に対する実感が薄れつつあったとのこと。同誌が創刊された1917年の頃のコンセプトは「家庭の幸福と女性の地位の向上」でした。その頃、女学校卒のインテリ女性を対象とした「婦人公論」が出版される一方で、「主婦の友」が想定した読者は庶民層である「おかみさん」と呼ばれていたそうです。その頃は、「主婦」という言葉が定着していなかった時代に掃除から炊事、育児まで何もかもこなさなければならない家庭の女性のため、というのが創刊の狙いだったとのこと。いわば、主婦をターゲットにして、雑誌がリードして市場開拓をして読者層を形づくったのです。

戦後は、高度成長期を象徴する「専業主婦」の定着と共に部数は安定していました。その頃のキャッチコピーは「結婚したら主婦の友」だったそうです。ちょうど私が、その頃に結婚したわけですが、当時は夫の働きだけで生活できる「専業主婦」は多くの女性の憧れでした。せっかく、大企業に就職しても寿退社することが夢であり、私も含めて多くの女性は、それが幸福になることだと信じていた時代だったのです。

しかし、その後専業主婦の割合は減り始め、雇用されて働く女性の数が家事専業者を上回り、未婚率も上がっていき、それに連れて部数も減少していったとの事。表紙を「スーパーのチラシ風」にするなどリニューアルしても、一時的には部数が増えるものの、結局は廃刊に追い込まれることになったのです。

その理由を主婦の友社の取締役のM氏は、「自己犠牲を伴うニュアンスをもった『主婦』という言葉と主婦向けの雑誌の内容が今の20~30代の女性に受け入れがたくなったのでは」と見ています。また、熟年男性を「濡れ落葉」などと呼んだ評論家の樋口恵子さんは「『主婦の友』の休刊は、自ら形づくった主婦という存在そのものが消えつつあることを端的に映した。現代の既婚女性は非婚者のように行動し、シングル化している、休刊は時代の流れだろう」と述べています。

昨日は、私が属している協議会と女性教育センターと共催で「メンター事例研究会」講座を開催しました。受講者は、私の予想に反して20~30代の女性が多く、それも就業しているが、今は育児休暇をとっている人たちが、多かったようです。最近の女性を対象とした講座のほとんどは、「託児つき」となっており、この講座もそうでした。彼女たちは育児休暇中であっても育児と家事だけに専念するのではなく、託児を利用して学習しているのです。彼女たちは、今回の講座以外にも精力的にできるだけ、各種の講座を受講して主婦、母親だけでなく「一人の女性」として充実した時間を過ごそうとしているのです。

受講後の感想を読んでも、しっかりと自分の考えや課題、講座に対する希望も書き、学習意欲も高い人が多かったのです。この傾向は、私が「専業主婦」とゆったりと楽しんでいた事と大きな違いでした。世の中の動向も早く動き変化しており、時の流れが当時とは大きな違いがあると思いました。

同時に、彼女たちがこれからの社会をリードして行き、新たな女性の生き方を示していくのではないかと頼もしく思いました。

by eastwatery | 2008-05-02 22:53  

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