後ろ姿(12月14日)
2007年 12月 14日
それは雨がシトシト降っている、空がグレー一色という感じの日でした。彼は、少し丸まって何かを考えながら歩いているのですが、その後姿がなんとも寂しく、悲しく思えたのです。私の思い込みかも知れませんが、彼の背中は彼の心の内面を語っているように思ったのです。
そのとき、後姿は、心情的なものを大きく映し出すものなのだ、と思いました。
まだ私が若かった頃、大好きな人の後ろ姿を見るのが好きでした。時々、寂しそうにタバコを吸い、吐き出す煙を目で追っている人でした。実らない恋でしたが、それから20年以上もたって、ふと人ごみの中で「彼だ!」と思える後姿に出会ったことがありました。「ドキッ」としました。少し嬉しかったコトを憶えています。実らない片思いの恋だったからこそ、それだけのことで嬉しかったのでしょう。
でもその後、そんなことが、あるはずもないことだと気づきました。あれから20年以上もたっているのだから、そのときと同じ彼の後姿に出会えるなど、あるはずもないことに気づいたのです。
その後、人ごみの中でその人の後姿やそれに似た後姿に出会ったことはありません。男子中学生のなんとも寂しい後ろ姿を見て、片思いの人のことを思い出すこともあるのだと、なんだか不思議な気がしています。
by eastwatery | 2007-12-14 22:44