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格差の広がり(8月29日)

衆議院議員の加藤紘一氏は、「小泉政権が進めた市場原理主義により『医療、労働、福祉、教育』の分野で次々と自由化政策を進めた結果、所得の格差は拡大し、豊かな人でなければ教育や医療を受けられない社会が出現した。構造改革に追いつけない地方経済は疲弊し、他者を思いやり、コミュティを大切にするという文化まで失われる傾向にある」と述べています。

確かに小泉政権の5年間で所得格差、教育格差が進み、人々は将来に向けて焦燥感と不安感をもっています。石川啄木の「はたらけど はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る」という心境で、これからの生活に不安を感じている人は多いと思います。
小泉政権の時代に、彼は「日本には、5%のエリートだけいればよい。後の95%はエリートの手足となって働けばよい」と言ったと聞いたことがあります。彼は、祖父、父とも大臣となった裕福な家庭で政治家になるべくして生まれ、育ってきた人です。

そのような人が総理大臣となった時に、数値では測れない他者を理解しようとする想像力がなければ、弱者(すなわち、地方行政、失業者、高齢者、子ども、障碍者など)に対して理解をしようとする姿勢がないのは当然のことでした。そのことをどれだけの人が理解しているのでしょうか? 今日TVの情報番組で「安倍首相の次に望む首相は?」という問いに対して、小泉氏を上げた人が一番多かった、ということが言われていましたが、これだけいろいろな分野に格差が出てしまった政治を行った人に対して批判の気持ちや、選択してしまった後悔はないのでしょうか? ちょっと髪がカールしたロマンスグレー(古い?)で、痩身でおしゃれな服装をする外見だけの人間で、、庶民に分かりやすくても中味のない話をする人間を見抜けないのでしょうか?

もう一つ、気になることがあります。教育格差を拡大する話です。以前にも書きましたが、子どもに付加価値をつけるノウハウを満載した、主に父親対象の子育て情報誌が多種類出版され、結構売れているということです。神戸女学院大学の内田樹教授は、この現象について「親が製造業者で子どもが製品であるという考え」を批判し「子どもの中にあるナチュラルなものに対する畏れとか、敬意は全く感じられません」と疑問を投げかけています。

子育て情報誌は月刊で、それが発売される日には、新聞の1面の下部にかなり大きな紙面をとって、その内容がPRされています。私が永年愛読している『AERA』にも朝日新聞が発行している同じ類の情報誌のPRが大きく出ています。私が、ずっと気になり、「これでいいのか?」と常に疑問に思っていたことを、内田教授は短く的確に述べておられます。この状態が長い間続いていくと、親の財力・経済力により教育格差が出現し、(既に出現している)子どもたちを数値化できる成績だけで評価することになってきます。

「学校化社会」という言葉があります。これは、地域・家庭が学校と同じように機能する社会をいいますが、このような社会では、子どもの純粋な魂は失われてしまい、人を思いやることもせず、ただただ数値を上げていくことを至上とするようになってくるのではないか?と、私は危惧しています。人間は、社会的動物です。だから、一人だけでは生きていけないし、支え合って生きていくことで、数値化できない生活の質(QOL)が上がるのです。そして・・・・一人の人間として生きる力を取り戻すことにつながるのではないでしょうか?

by eastwatery | 2007-08-29 21:44  

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