人気ブログランキング | 話題のタグを見る

大人たちの学校~生涯学習を愉しむ~(5月4日)

先日、NHK広島放送局のディレクターから私が代表をしている「社会人学生ネットワークきらめき」(会員36名)の会員を取り上げ、「大人の学び」を取材したいと申し入れがありました。会員の年齢は30歳代~70歳代、社会人学生の現役、OB/OG、これから社会人学生を目指す人、と様々です。今回の取材の目的は、退職後あるいは高齢になってから、それまでの経験を生かして大学・大学院で学び・研究している人たちが、どういう目的や目標を持ち、卒業後・修了後、学んだことをどう生かそうとしているか、ということです。

ディレクターには、過日、参考までに先日発行した冊子『社会人のための大学・大学院合格の秘訣』を読んでもらっていました。そして昨日彼女から「社会人学生の人たちは、なぜ、あれほどの学ぶ意欲があるのでしょうか?目的は何なのでしょうか?」と電話がかかってきました。昨年大学院を出たばかりの若い彼女には、社会人学生の「学ぶ喜びと目的」がどうも、今ひとつ分からないようでした。「一番大きな目的は、学習・研究したことを基として社会貢献したいということ、次に、改めて学び直して資格取得をし、若い人は転職を目指すこと、退職後の人は新たな仕事に就くためにです」と話しました。

ところで、貝原益軒は「楽しまないで、はかなく人生を過ごすことは惜しい」といっています。団塊世代の退職などが話題となる昨今、人生の楽しみ方や生きがいが真剣に求められ、人々の「学習」熱はかってなく高まっているように思います。

そういう彼らが再び学びの席に着く動機は様々ですが共通するのは「より自分らしく、より自由に生きたい」という思いです。岡本薫氏は、このような学び方を「日本型生涯学習」といっています。例えば、欧米においては職業知能の訓練や教育、学歴や資格の取得などが継続教育の主体となっており、「生涯教育」と言うのは、失業率の抑制、経済成長の促進、製品の国際競争力の向上など「経済のための手段」という色彩が強いのです。

これに対して日本では、「こころの豊かさ」や「生きがい」を目的とした学習機会の豊富な提供が、生涯学習の眼目とされており、欧米とはかなり異質なのです。この違いの理由として岡本氏は、次の理由を挙げています。

①(日本人)は生活の時間的・経済的な余裕を「自己の向上」に使おうとする傾向があること、  ②「学習活動」を「楽しむ」という傾向があること、 ③学ぶことや知的に向上することそのものに価値を見出し、教育や学習そのものが「好き」な国民性、 ④理念としての教育の目的を「知識・技能」よりも「心や人格」に置く傾向、ということです。

話を基に戻すと、前述の「社会人学生ネットワークきらめき」の会員の学び方は、日本型生涯学習と欧米型生涯学習の両方の利点を取り入れて、学習しているように思うのです。また、私が「社会人学生ネットワークきらめき」を立ち上げたときと較べると、今年大学・大学院へ入学した人たちは、どちらかと言えば、欧米型に近いと思っていましたが、その人たちに入学後の様子を尋ねてみると、早くも若い学生の友人を持ち、自分の夢を実現させつつあることや将来の夢の実現を目指した学習や研究を楽しんでいることを報告してくださいました。支援をしてきた者としては、こういう声を聴くのが一番幸せだし、充実するのです。そして、「ああー、今年もがんばろう!」と思うのです。

8日は、私も社会人入学生と一緒に取材を受けます。どう仕上がるのか、楽しみです。

by eastwatery | 2007-05-04 23:40  

<< 夫婦の役割分担(5月5日) 友人から学んだこと(5月3日) >>