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二つの美術館巡り(3月27日)

今朝は5時起きをし、貸し切りバスで島根県の二つの美術館へ行ってきました。一つは日本でも伝統的な日本庭園を眺めつつ、横山大観の日本画を中心として展示してある安来市の足立美術館、そして、もう一つは、20世紀の装飾美術の名作であるルイス・C・ティファニー美術館です。

まず、足立美術館では、遠くにある山々を借景として設計された伝統的日本庭園をゆっくり眺めた後に日本画を中心として鑑賞しました。枯山水庭をはじめ、13,000坪におよぶ6つの庭園は、四季折々にさまざまな表情を醸出すということです。スケールの大きな、しかもしっかりと手入れの行き届いた庭に対すると、多くの見学者も一同に寡黙になっていました。美術館に入った直ぐのところには、螺鈿を施したすばらしい家具が飾られ、その後日本で有名な武井武雄、林義雄などの童画がずらりと展示され、子どものあどけなさや動物と子どものふれあいなど、思わず微笑んでしまうような絵ばかりでした。

その後は、まず3月1日(木)より開催している春季特別展「榊原紫峰《生誕120年》―知られざる花鳥画家の全貌―」を観ました。榊原紫峰は、自然に深い愛情を持ち、生涯花鳥画を描き続けました。足立美術館での紫峰コレクションは約90点におよび、その数は日本一を誇っているとのこと。今回は、紫峰の生誕120年を記念して、初公開作品を含む約40点が展示されていました。印象に残っているのは、機や花を描いても必ず、すずめや鷺などの鳥やリスなど、そして、自宅で飼っている山羊や猫なども本当に愛情深く描かれていることでした。私が今まで観た絵の中で、これほど生き物に愛情をもっているものはなく、動物好きの私には心に触れるものがありました。

その後、横山大観の富士を描いたもの数点を含めた多くの絵を観ました。この美術館では、横山大観の作品の所蔵が多く、常設展があるので今回3回目の彼の作品を鑑賞しました。特に白黒で描かれた日本画は、色がついた絵よりもはるかに奥深く感じられ、迫力もあるように思いました。大観の絵を見て始めて、上述の榊原紫峰の絵もいいが、色の派手さや落ち着きのなさなど大観と較べたら、これほど違うのかと思いました。さすが大観です。

その後、アールヌーボーのステンドグラスや装飾品が所蔵されているルイス・C・ティファニー美術館を訪れました。実は、この美術館は、松江市との協働事業だったのですが、もう一方の会社とのいざこざがあり、3月31日で閉館することになっています。前々からこの美術館とイングリッシュガーデンの素晴らしさを人づてに聞いていたので、急いで申し込み行ったということです。噂どおり、ガラスで作られたアールヌーボーの大きさも色も模様もさまざなランプ、置物など多数ありました。また、はめ込みの大きなステンドグラスなどは、特にブルーが美しく、手の込んだものでした。これらのものは、アメリカ、特にニューヨークの大富豪たちがお金に明かせて注文し作らせたものです。また、その後に展示されている、どれだけのお金が投じられているか分からないほどの宝飾品の数々、あまりにも生活とかけ離れている品々に、正直うんざりしてしまい、すっかり興味をなくしてしまいました。

自分でも「美しいものを、なぜ美しいと思わないのか?」と不思議に思ったのですが、夫も私と全く同じ感じを抱いたようでした。以前、パリへ行ったときベルサイユ宮殿を見たとき、そのきらびやかさの裏には、貧しい国民からお金を搾り取って、これほどゴージャスな城を建てたことを知り、「虚栄と権力を表すためにつくられた建築物」にうんざりしたことと同じ感覚だったことを思い出しました。

どうも私はへそ曲がりなのか、リアリストすぎるのか、ルイス・C・ティファニーのものには魅力を感じませんでした。そういえば、足立美術館では、所蔵の北大路魯山人、河井寛次郎の名品の中から、それぞれ約50点を楽しみました。魯山人展示室では、魯山人の箱書写真を作品に添えています。箱書とは作品を収納する箱に作品名および作家名を記したものです。この美術館が所蔵する魯山人作品のほとんどは作者自らが記入したもの。魯山人はもともと書家として芸術家の道を出発しており、その文字は実に味わい深いものがあります。しかも、彼は料理した食べ物が魅力的に映えるような作品をつくっていると、いうところが彼らしいと思いました。

by eastwatery | 2007-03-28 00:08  

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