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初めは感激し、終わりは がっかりしたこと(3月13日)

お昼のTV番組で事業に成功した一人の青年を取り上げていました。彼は、六本木ヒルズに事務所を持ち、マンションもあるという現代では「超エリート」と呼ばれる人であり、彼も自分自身をそう思っているようでした。仮に彼の名前をAさん(33歳、独身)とします。

Aさんは、2歳の時に両親が離婚し、養護施設を転々とし、そのときには随分いじめにもあったとのこと。そのうち、祖父母が彼を引き取ってくれ一緒に住めるようになりました。
祖父母は、温かくも厳しい人でしっかりと育ててくれ、今の自分があるのは祖父母のお蔭だとAさんは言っていました。だから、「少しでも早く自分が一人前になって、祖父母を楽にさせてあげたい」と常に、思っていたそうです。

高校卒業以後は、友達と二人で歌舞伎町辺りで「カキ氷」の屋台をし、500円で食べ放題をしたら大繁盛し、1年間で1,000万円儲けたそうです。それを元手に次々と商売を変えながら発展していき、今では、年商50億円のロイズ株式会社を立ち上げ、主に経営コンサルタントをしています。彼は、2,500万円のフェラーリ、?円のベンツを持ち、1千万単位の調度品や置物のある豪華なマンションに一人で住んでいます。掃除、洗濯、料理も自分でし、特にトイレ掃除は念入りに毎日するとのこと。その様子を放映していましたが、集中して丁寧にトイレ掃除をしていました。「これらのことをするのは人間として当たり前。自分のことは自分がするべきです」といっていました。

インタビュアーに「僕は今まで一度も失敗をしたことはありません」といい、「そうですか?」と不思議がるインタビュアーに彼は「みんな僕が失敗したことがないというと不思議がりますが、僕にとって<失敗というのは、夢を諦めてしまうことです>。今まで、僕は自分がしようと思ったことは一度もあきらめず、辛くてもやってきて、ここまできました。だから、一度も失敗したことはないのです」と答えました。

ここまでは、いまどき珍しい青年社長だと思ってきました。経営コンサルタントとしても、いかに企業を上手く経営するか丁寧な言葉遣いで指導をしていました。祖父母に対しも、尊敬しつつ、いたわる姿がありました。

そして、レポーターが最後に「Aさんは、大きな夢を持っていて、5000億円貯めて今それを実現しようと頑張っています。それはどんなことでしょう?」とコメンテーターなどに尋ねました。これまでのAさんの生き方や暮らし方を見て「何か大きな社会貢献をしようとしているんでしょう」とか「学校を建てて教育関係の仕事をしようとしている」、「宇宙関係のビジネスかな?」など、いろいろな答えが出てきました。
レポーターは、TVの映像を見せながらこういいました。「いいえ、違います。彼は、5000億円かけて前方後円墳型の自分のお墓を立てようとしています。しかも、そのためにあちこちを調査しているということです。」と。こういう時をいま流行の言葉で短く言えば「ガ~~ン」ではないでしょうか? さすがにコメンテーターも司会者も何も言うことが出来ず、画面は直ぐに違うトピックスになりました。

私もてっきり、「発展途上国で人々のために学校や病院を建てたい」とか、「自分が理想とする学校を建てたい」あるいは「親と一緒に住めない子供たちのために施設の充実した養護施設を建設したい」とか、「高齢者のための環境整備がされたグループホーム」とか、とにかく社会貢献のようなものだと思っていました。彼が、5、000億円かけて前方後円墳型の墓を建てたら、彼は「これが日本一のお墓」だと思い、著名人の一人だと満足かもしれません。でも、そのことは、やがて馬鹿馬鹿しいこととして忘れ去られていくのではないでしょうか?そのお墓が、「人にどんな影響を与え、どんな意識の変化を与え、生き方を考える」材料になるでしょうか?そのお墓で「人の心の成長や人間としての成熟」に影響を与えるでしょうか? 余りにもこのストーリーの前半と後半が違いすぎ、彼の考え方や生き方も違いすぎ、何故こうなってしまったのか?私には解りません。

by eastwatery | 2007-03-13 20:19  

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