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ドミニカの少年にバイオリンを(1月16日)

昨日、「News 23」の特集を観ました。この特集では、ある若い男性Aさんが、海外青年協力隊を志望し、音楽を教えるためにドミニカへ行ったことから始まっています。
ドミニカは、カリブ海にある共和国で、住民の多くは混血であり、言語はスペイン語です。通称ドミニカ共和国といい、日本と比べると経済的に貧しく、発展途上国に入る国です。

Aさんは、十代の子ども達にバイオリンを弾くことを通して音楽を教え、ある程度子どもたちがバイオリンが弾けるようになった時に任期が切れ、日本に帰国しました。しかし、TVが報道したのは、その後の彼の思いと行動でした。

彼の帰国後、子ども達の中には、バイオリンを弾いて家庭の大黒柱になっている子どもや、将来は音楽家を目指して勉強をしたいという子どもや生きて行くための夢を見つけた子どもが多くいました。Aさんはそれに応えるように、帰国後は仕事の傍らバイオリンをドミニカの子ども達へ持っていってあげるために、家で眠っているバイオリンを求めて、寄贈をお願いして多くの家を回りました。その中には「亡くなった夫が、愛用していたバイオリンだから大事にとって置いたが、ドミニカの子ども達にぜひ使ってもらいたい」といって喜んで寄贈した人もいます。そのような活動により、110本のバイオリンが集まりましたが、中には調整しなければいけないものもあり、それらについても彼は自費で賄っています。

そして、そのバイオリンを贈った後、彼は再び自費で子ども達に会いにドミニカ訪れました。子ども達は「先生に感謝のコンサートをしよう」といい、Aさんの前で一生懸命バイオリン演奏をしました。どの子もその演奏をとても楽しむだけでなく、将来バイオリンを弾くことで自立した生活をしたい、と真剣に考えています。だから、顔つきは締まっているし、眼はキラキラと輝いています。

滞在期間も過ぎて、Aさんが帰国する時が来ました。彼が子ども達にスペイン語で「いいコンサートをありがとう、みんな上手になっているよ。また来るからね」と言ったとき子どもたちは「待っているよ!」といい、ハグして(抱き合って)涙を流している子どももいました。彼も車が出発した直後涙ぐんでいました。

その彼が言った言葉です。「教育は、夢を持てるようにすることであり、1人ひとりの人間は、欠けがえのない存在です。そういう子ども達に夢を与えたいのです!」。その日生きて行くことが精一杯な生活であることは、インタビューした少年の家庭を見れば分かります。彼は、音楽家になる夢をもち、その夢を実現するべく家族も彼を応援し、彼に期待してます。

現在の日本の教育の状況を考えたとき、「どちらの子どもが幸せなのだろうか」と考えてしまいました。日本は、今年から大学全入時代になるほど大学進学率の高い国です。しかし、どのくらいの大学生が、自分の将来に対して夢を持ち、その夢に向かって自らが主人公となって生きているでしょうか?ドミニカの子ども達のように十代の子ども達の目は輝いているでしょうか? ホームレスの人を殺した少年は当時13歳でした。彼には、どんな夢があったのでしょうか?

「教育とは、夢を与えること」。本当にそう思います。私は常に自分を励ましてくださる数人の先生に出会い、戦後の母子家庭の貧しさの中でも、「いつかは先生になりたい!」と思い続け、いつか夢の実現ができると思って生きてきました。今、その夢は正確に言うと実現はしていませんが、生涯学習にかかわる仕事や活動をすることができています。

「教育は夢を与えること」ということは、私の中では確実に真実だといえます。私を温かく励まし見守ってくださった小・中・高校の先生、大学の先生、そして大学院の先生方と先輩達、すべての人に感謝をしています。もちろん、ずっと私のありのままを認めて励ましてくれた母にも大感謝です。

by eastwaterY | 2007-01-16 22:51  

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