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離島の教育(12月19日)

山口県の萩市の沖に相島という小さな島があります。 そこの中学校(全校で3人の中学生)には、たった一人の中学3年生、N君がいます。彼は、先日東京であった全日本中学英語弁論大会で4位に入賞しました。これは、5児の母親のSさんが、月1回中国新聞の文化・生活面に「笑門来福」というタイトルで離島通信を掲載しているものです。彼女のお連れ合いが、この島唯一の学校に勤務しているのです。そして、子どもたちは、小さな島独特ののんびりとした、おおらかな環境で成長しています。

ところで、全日本中学校英語弁論大会で4位に入賞したNくんは、英語力もさることながら全く物怖じしないばかりか、舞台が大きくなればなるほど落ち着き、経験を重ねれば重ねるほどスピーチがうまくなったとのこと。最後の決勝では、会場の反応を確かめながら話す余裕まであったらしいのです。これは、全校で3人しかいないからこそ、1人で何役もこなさねばならないため、人前で話す機会が非常に多いので、それが役立っているのです。一見、デメリット思える状況は、メリットに変えられるということです。「離島だから、小さな学校だから、・・・・」というのではなく「離島であるからこそ、 小さな学校だからこそ・・」と発想の逆転をすることがいかに重要か、ということだと思います。

教育政策としては、現在、どんどん、離島や過疎地の学校は統合されてなくなりつつあります。学校は、特に過疎地などにおいては文化の中心地であり、多世代の人々が触れ合い、行事を行う大事な拠点になっているにも係わらずです。Nくんは、今回大会へ出場し、入賞したことで自信を持ち、「東京の大学に行く」という新たな目標を見つけました。Nくんの母親は、帝国ホテルのレセプションで「どのような教育をしておられるのですか?」と尋ねられたけれど、「そんなこと聞かれても分からんけえ困った」とのこと。都会の塾通いの子ども達と違って、N君が始めて英語に接したのは中学1年の英語の授業であり、「中1の時の英語の先生がとても良く、それで英語が好きになった」と答えたそうです。ここには、親から強制された教育の場面は想像できません。

安倍内閣は改革の柱のひとつに「公教育の再生」を掲げています。全国どこに住んでいても、お金持ちでなくても、普通に学校に通い、普通に頑張ってさえいれば、躓いたり、ぶつかったりしながらも希望を失わずに毎日を送り、Nくんのように将来の夢を持つことができる、ということ。
このような、ごくごく普通の学校で、普通の教育ができる国であれば、経済格差が教育格差につながるということにはならないと思うのです。また、いろいろな子ども達がいて、共に学び合い、支え合いながら学校生活をすること。これこそが「教育の再生」につながると思います。

by eastwaterY | 2006-12-19 21:12  

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