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TV番組「課外授業」は、子どもが元気(9月30日)

やっと休みになりました。文字通り私一人のフリータイムがあるのです。夫は朝早くから(私が寝ている間に)自分で朝食をつくってゴルフに出かけていきました。誰にも邪魔されずに、たっぷり、ゆっくり新聞を読めるのは贅沢だと思うほどゆっくり読みました。その後NHK「課外授業」(再放送)を観て、子どもがイキイキしている姿に私まで元気づけられました。

今日の先生はアートディレクターの長友啓典さん。彼の母校の小学校6年生への授業です。何をするかといえば「自分の日々の生活の中で、1つだけ馴染みのある風景を選び、その風景をじっと見ることで①絵か文章で表現する、②自分の気持ちをのせて、それを絵にし、③絵を仕上げ、みんなの前で発表します。

これが授業の①~③がプロセスです。まず①では、子供達は学校外に出て、自分の一番なじみのある風景を見つけ、そこでじっと佇むか、座っていろいろ思い出したり、気づいたりします。その時長友さんが子どもたちに尋ねました。「こうして風景をじっと見詰めることが大事なんだよ。どんなことに気づいたかい?」と。②では、教室内での授業です長友さんは、「子ども時代に、いかに記憶を多く持っているかが大事だし、記憶の引き出しをたくさんもって大人になってほしな。そうすると、人にも優しく親切な人になれるんだよ」と語っていました。そして、絵が上手に描けない子どもに対しては「上手に描こうと思わないで、自信をもって描けばいいんだよ」と。そういうアドヴァイスを聞きながら子供達はそれぞれに、自分の中に印象的にある風景を描いていきます。自分の好きな場所の絵を描くのですから、みんな楽しそうだし、真剣です。その様子から長友さんは「このまま育っていてほしいな」と語っていました。

そして、③では、何人かの子どもの絵と発表がありました。Aさんは、細い路地を描き、雨の日に傘が引っかからないように歩くのがドキドキするし、晴れの日でもここを通ると気持ちが落ち着くとブロックの塀に囲まれた路地をしっかりと力強く書いていました。Bくんは、大きな松をどっしりと描いていましたが、そこを通る時にいい匂いがすることを、どう描けばいいかを考えました。そして、悩んだ末に松の一番上にクロワッサンを描きました。実は、その匂いは松の隣にあるパン屋さんからの匂いだったのです。この匂いの描き方など、とても私は思いつかないので(木は木としてか観ないし、描けない)、こんな物事にとらわれない考え方は、さすが子どもだと感心しました。その他、いつも猫数匹をよその玄関に追い込んでいた風景、高速道路を虹色に塗ったりもの、幼い時におじいちゃんに手を引かれて通った道が、今は閉鎖されている風景など、さまざまでした。

ある一人の子どもが、散髪屋さん特有のくるくる回る三色看板を大きく強調し、これは小さい時からいつも見てきたものだと発表していました。そこで、長友さんが「絵は観たままだけでなく、どれだけ自分が強く描きたいものや思いが強いものに焦点を当てて大きく描いてもいいのだよ」とアートディレクターらしいアドヴァイスをしておられました。

最後に子供達にこの授業についての感想を尋ねられました。子供達は「今までじっと風景を見たことはなかったが、そうしてみたら楽しかった」、「絵を描くことが好きになった」、「自分が思っていることが描けてうれしかった」と。長友さんは、決してこうしなさいとか、こうするとうまく描けるとか言わないで、子どもが発する言葉や思いを大事にして、キーポイントとなる言葉だけを言い、子供達が自分から考えるようになさっていました。これこそ、子どもの持っている「力を引き出す」(英語では“educate”、これが名詞になると”education”)ということだと思いました。

子どもは、長友さんから指図をされないし、最後の発表の場面でもその子その子に合った肯定的なコメントをしておられました。一人一人が本当に大事にされている授業だと思いました。

by eastwaterY | 2006-09-30 22:19  

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