丸の内2足わらじ画家(8月22日)

『AERA』(’06.8.28)に政財界のファンも多い、個性的な画家が紹介されていました。
63歳の赤平浩一さん(以後Aさん)の職業は、靴磨きと画家です。彼の描く絵は、川辺などの風景画が多く、現在は丸の内の人と街の移り変わりを記す本を執筆中とのこと。

では、彼がなぜ丸の内と関係があるのかということです。彼の長年の友人には、衆議院議員馬淵澄夫さん(民主党)がいます。彼が会社員の時代、Aさんから「お客さん、靴を磨いていらっしゃい」と声をかけられ、平社員には少し贅沢な気もしたが、思い切って彼に靴を磨いてもらったことがきっかけになりました。その時Aさんはこういったそうです。「靴はその人の生き様を反映するので、常に清潔にね」。その後、馬渕さんは順調に出世して役員になった頃、久しぶりに丸の内に行った時、今度は「立派になられましたね」といい、昔より高級になったくつを見て、Aさんは微笑んだそうです。

Aさんは幼い頃から画家を志し、靴磨きで学資を稼ぎ、美術学校を卒業後、アメリカ、パリなどを行ったり来たりしながら、個展を精力的に開き、合間を縫っては丸の内に出ました。彼の靴磨きのお得意様は政財界人が多く、そのうちの一人のSさんは、靴を磨いてもらうと同時にAさんの個展にも行くようになったといいます。

SさんはAさんのことを、こう言っています。「ただ、事務的に靴を磨くのではなく、客への態度が真摯。画業にも確固たる信念がある」と。馬淵さんもAさんが描いた優しい町の田園風景に故郷の記憶を呼び起こされ、個展が開かれるたびに行っています。そして、Aさんは丸の内に座って50年あまり。その間に世の中は、景気と不景気を繰り返しました。Aさんは言います。「景気が良いときは、人々は半ば狂ったように前のめりで歩き、悪くなると気迫にかけて足取りが重くなる。多くの人と接してきて、人の本質を見る『動物的嗅覚』が身についた。それが本業の絵にも役立っているのかもしれない」

旅館などでは、お客様が脱いだ靴を見てどういう客かを判断すると、聞いたことがありますが、靴磨きの人も「靴はその人の生き様を反映する」と言っているのを見ると、普段あまり目立たない靴にどれだけ気を使うかということが、その人を表すことになるということでしょう。そういうことが大事だとわかっているからこそ、Aさんはその誠実な人柄から「事務的に靴を磨くのではなく、客への態度が真摯」ということだと思います。一見、靴磨きと画家の共通点はないように見えるが、二つともがその人の「生き方」を見事に表していると思いました
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by eastwaterY | 2006-08-23 00:14  

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