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この先の日本~原点はどこに~(8月11日)

今日の中国新聞朝刊に思想家の吉本隆明氏による「この先の日本~原点はどこに~」というテーマで寄稿された一文が掲載されていました

彼は初めに日本人のカネに対する感覚が変わってきていること、カネと言語の「振る舞い方」は非常に似ていると書いています。また、言葉とカネも、ともに時代や社会を映し出すもので、変化して当然だと論じています。

今話題になっている「格差」についても「資本主義である以上、格差があるのは仕方がないのではないかと受け止めている」としています。その上で、彼は、現実問題として社会に今、どんな変化が起こっているのかについて、人々は正確な認識をもつ必要があると示唆しています。かって、9割が中流で残りの1割に大資産家や食べるのがやっとの貧困者だった安定的な構造から大資産家も増え、貧困者も増える状況になってきています。

その結果、今、格差が広がり、カネさえあればという風潮がまん延しています。では、このような状況下では、どう行動したらいいのかを考えたとき、できることは一つしかないと吉本さんは言っています。それは・・・「自分自身が本当は、どうしたいのかということを一人ひとりが考え、実行する以外にない」ということです。自分の住んでいる世界と社会がめちゃくちゃに変わってしまっても狼狽をしてもいけないし、無関心を決め込んでもいけないとのこと。最後にマネー社会を自立して生きる唯一の方法は、「現実を知り、かといって周囲に流されず、自分の行く道を探ること」だと提言をしています。

私は、かの有名な思想家である吉本隆明さんが「自分自身が本当は、どうしたいのかということを一人ひとりが考え、実行する以外にない」と言っていることに、胸がドキドキしました。日ごろから私がなんとなく考えていることを、吉本さんが的確に短文で言い切っているからです。日本は「多くの人がしていることをやっていれば、アレコレ言われないから、自分の考えを前に出さず、大勢にしたがっていく」という社会だと思うのです。どちらかといえば、私は自分はどうしたいのかということを前面に出し、誰かに何か言われたとしても自分の考えを持って行動する方です。だから、日本の社会では「でしゃばり、変わり者」と見られ、私を理解してもらうまでには長い時間がかかります。しかし、吉本さんが「自分自身が本当は、・・・・」といっていることは、彼が結論で言っている「現実を知り、かといって周囲に流されず、自分の行く道を探ること」につながっているのではないかと思うのです。

「自分がどうしたいのかを考えて実行する」というのは、精神的な自立ができていなければできないことです。多くの人が「現実を知り、・・・・」そして、「自分の行く道を探る」ということになれば、日本人の集団行動主義のようなものは、なくなると思うのです。また、外国から「日本人の精神は未熟である」とも言われないと思うのです。また、もう一つ吉本さんが言いたかったのは、日本では、カネ中心で動いている現在「何に価値を置いて生きていくのか(それはモノ・カネではないもの)をしっかりと考えること」だと思います。

by eastwaterY | 2006-08-11 23:31  

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