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ジェンダーの語られ方・メディアのつくられ方(8月7日)

今日は午後からフェリス女学院大学文学部教授の諸橋泰樹さんの講演を聴いてきました。
メディアにおける表現を深く読み取ることで、メディアによって描かれた現実を生きていることを理解することができる、講義とワークショップによる講座でした。
諸橋さんは大学のゼミにおいても「戦後60年3紙(朝日、読売、毎日)報道比較分析」をするというように、ただ理論的研究をするだけでなく、実際に実証研究を深く広くしている人です。

今日の講座の初めは、彼が8月4日から広島に来て昨日の6日にはドームの周辺で行われる「ダイ・イン」(地面に横になることにより、亡くなった人の魂を悼み、その人の気持ちに近づいて平和を考える)をし、そこに横たわった人と気持ちを共有したとのこと。これは今年だけでなく、毎年東京から来てしていることだとということです。また、彼は、2年前に天皇皇后両陛下がサイパンの「バンザイクリフ」に行って、そこから深い海に飛び込んで自決をした人々の冥福を祈られたことがあったことに対して、実際に現場を見ないと真実は分からないと行って、後日「バンザイクリフ」へ行ったという人です。

実際に行ってみたら、その絶壁の先から海まではものすごい距離があり、確実に飛び込めば助からないという高さだったそうです。そこからいえることは、自決した人々は最後は追い詰められて「死ぬことは分かっていてもそうせざるを得ない状況にあったのだ」という痛ましい状態にあったことを理解したということです。新聞に掲載された両殿下が祈る写真というのは両者が主になっているので、死者の真実の姿が分からなかったのです。
彼の持論としては、「映像というものは、現場に行ってみないと真実の現象は分からない」ということです。なぜなら、新聞やTVで出てくる映像は既に、新聞社やテレビ局で構成されたものであり、一人歩きをする可能性があって、それがあたかも現実と思わせる怖さがあるということ。すなわち、それらが現実を構成してしまうのでそういう循環を断ち切る必要性があるということです。(実は、この後マトリックスをワードで描画を使って書いたのですが、残念ながらブログにしたら、説明の文字だけが残って矢印や四角、○、楕円などはすべて消えていました。残念ですが上述の説明だけになります)。

このマトリックスの説明があった後、今度はイギリスの車のCMのビデオを観て、いかにジェンダー・バイアスが、かかっているかということをテーマにワークショップをしました。

第1回の湾岸戦争の時、そのニュースがアメリカ側の視点だけから、報道されているとマスコミの偏向が言われていました。しかし、それから10年以上経っても相変わらず海外のニュースはアメリカのCNNからのものであるという日本の現実があります。これは明らかに日米関係を表したものであり日本が「日本のポチ」といわれることとも関係ありそうです。だから、私たちは「だまされない力」を持つ必要があるのです。私が尊敬する教授が教育原理の授業の最初に「教育とは騙されない力を持つためになされることだ」といわれました。今では、その教授が言われたことが良く分かります。

by eastwaterY | 2006-08-07 23:18  

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