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夫婦のコミュニケーション2(3月13日)

 昨日に続き、「夫婦のパートナーシップ」を考えていきたいと思います。私は、主にジェンダー(社会的・文化的に作り上げられた性別あるいは性差)を中心とした夫婦、親子、教育など、また、生涯学習や、意識変容などを講演しています。最近は、特に公民館などでは夫婦関係について講演を頼まれる事が多くなりました。これは、昨年TVで「熟年離婚」が放映されたこと、2007年からは熟年離婚をする際、年金の1/2を妻に分割する事ができるので、多くの妻が夫に離婚を申し出るだろうとなどと話題となっているからです。

 ということで、昨日の続きを書いていきます。講演の後半は「離婚しないためには?」を参加者と共に考えることとしました。

 男性と女性のコミュニケーションの方法は、はっきり違っているといわれています。男性は「事柄コミュニケーション」、女性は「気持ちコミュニケーション」が得意であるということです。つまり、男性は、利害に絡む事や建設的なこと、前向き、論理的なことには興味があるが、感情的、情緒的なものにはフタをしやすい傾向があるということ。また、男性は「勝たねばならない」という意識があるために、相手の言っていることを受け入れにくく、異論・反論となりやすいのということ。したがって、日常会話の中では、男性は、「しかし、だけど、でも」ということばを口に出しやすいのです。

 一方で、女性は、気持ちを伝えたり、同意・共感する事は上手だが、物事を要領よく簡潔に論理的に話す事ができにくいのです。これは、ある研究者によれば主婦的話法といわれていますが、平素から話し方の訓練ができていないこともあります。したがって、自分の言いたいことを感情的にならず、きちんと要求したり、積極的な意思表示をする事が求められます。

これだけ、男性と女性との間に違いがあるのですから、お互いに違いを認め合い、お互いを理解しようと思うのであれば、ぶつかり合うのを恐れず、まず、話すことが大切なのです。要するに言葉と心のキャッチボールをする事。そのためにはお互いが対等関係にあることを基として「共生・響生」していくことです。この「響生」は私がある論文の中で作った造語ですが、共に生きる「共生」だけでなく、響き合って生きる「響生」が、夫婦・親子だけでなく人と人がつながりあって生きていくためには、必要だと思うからです。

 この考えにぴったりの詩があります。永中順さん(永六輔さんのご尊父)が書かれたものです。。

   生きてゆくということは だれかに借りをつくること
   生きてゆくということは その借りを返してゆくこと
   だれかに借りたら だれかに返そう
   だれかにそうしてもらったように
   だれかにそうしてあげよう
   だれかにそうしてあげよう

   生きてゆくということは だれかと手をつなぐこと
   生きてゆくということは つないだ手のぬくもりを
   忘れないでゆくこと
   めぐりあい あいしあい やがてわかれに
   そのときにくやまないように よくあしたを生きよう
   人は一人では 生きてゆけない
   人は一人では あるいてゆけない

 この詩を参加者と一緒に読んだのですが、音読することで一層この詩が参加者の皆さんの中に入っていったようでした。その後、「真の共生・響生」とは、どういうことだろうかを話しました。これは「セクソロジー」という科目であちこちの大学で講義をしておられる村瀬幸浩さんの「真に共に生きるという事は、ベースにお互いの中に一人の人間として対等関係があり説得と妥協によってではなく、理解と共感をベースにした抑圧と攻撃のない共生」という言葉を紹介しました。(彼の場合は「共生」のみです)

 要するに「相手によって幸せにもらいたい」と思うのではなく、「結婚すれば自然に幸せになる」のでもなく、お互いが対等な関係を作りつつ努力をして、自分たちなりの家庭像や夫婦像を作っていくことが大切です。妻も夫も「してくれない症候群」ではなくお互いを受け入れる月日を積み重ねた経験と家庭生活を荒立てない知恵を持って、結婚生活を積み重ねていくことでしょうか。

 ある調査によると、熟年離婚をした人の7割が「後悔している、意地を張らなければよかった」と答えているそうです。人間は、年月と共に変わっていくもの。長年つれ添った夫婦も悪い部分だけを見るのではなく、変化を受容することが大切だということです。

 したがって、熟年世代の夫婦が考える事は「離婚」ではなく、「続婚」「卒婚」ということでしょう。前者は、意地を張り合わないでコミュニケーションをとって結婚を続けていこうという考え方、後者は、子育てが済んだ後、もう一度二人の関係を考え直して新たな二人の関係を作って生き、結婚を続行していこうという考え方です。

 最後に「相手をリードするのでもなく、後ろから着いていくのでもなく、夫婦が共に一緒にならんで歩く事が大切」ということだろうと思います。

 今日も長々と書いてしまいました。最後まで読んでくださって有難うございました。

by eastwaterY | 2006-03-13 15:14  

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