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「核廃絶に向けて~NHKの番組より~」(8月9日)

昨夜、午後9時(現地時間)から始まった「北京オリンピック」の開会式をすべて通しで見ました。中国の歴史を紐解いたパーフォーマンスの終幕で「和」という字、「鳩」が羽ばたく場面がありました。この演出は素晴らしく、この考えが世界中に広まり、世界中の人々が助け合って共存共栄して行くきっかけになれば・・・・と心からそう思いました。

それと同時に8月6日の午後10時~7日午前12:15までNHKで日本とアメリカを結んだ生放映で「核兵器廃絶」について討論があったこと、それを見て感じたことをどうしても書きたくなりました。本当は、すぐにでも書きたいと思っていましたが、このところ疲れが出て、夕食後眠ることが2日間続き、そのままになっていました。

この討論番組で一番に感じたことは、日米の核兵器や平和に対する考えが如実に違いっているということでした。今回はテーマである「核廃絶は可能か」について日米の人たちが話し合ったわけですが、その点でアメリカと日本では大きな違いがあると思いました。

アメリカは現実主義、つまり、この討論の参加者の半数は「核廃絶に反対」というもので、核があるからこそ、世界の平和が保てるのだという意見でした。その考え方は、どうやらニューヨークで起きた「9.11」のテロ事件からきているようでした。それ以来、どうもアメリカ人の多くは「人」に対する信頼感がなくなったようです。核兵器を持っていなければ、いつ、明日にでも核兵器を持っている国から攻撃を受けるかもしれない、という大きな不安感を持っているのです。

その一方で、日本人からの立場としては、「まず違いを認めお互いに歩み寄っていくような第一歩から始めること」という意見等が出ました。それに対してアメリカ側からは「あまりにも抽象的で現実を見ていない」という意見も出ました。また、アメリカで被爆者の人が証言をしたり、被爆者が描いた絵の展覧会のことに対しても「日本人は感情的に平和を訴えているだけで、理論的ではない」という意見もいくつか出てきました。

しかし、2時間余りの時間経過で、日米の出席者の中にお互いを理解しようとする姿勢と、「話し合いの大切さ」に気づいた人も出てきました。そのきっかけは、(私が思うに)20代の日本人女性と坪井さんという被爆者男性の意見からだったようです。その女性は、「アメリカが原爆投下をし多くの死傷者を出し、運命が変わった人もいるが、そのことによってアメリカを憎んでいる人はあまりいない。自分の祖母も被爆者であったが亡くなるまで、アメリカに対して恨み事は一言も云わなかった」と言いました。また、被爆者の坪井さんも「自分は多くの外国に行って証言をしているが、それはアメリカを憎んでその行動をしているのではなく、世界の中で二度とそういうことがないように、世界中の人が手を取り合って平和に生きていけるように願って証言活動をしている」という発言もされました。

最終的には、東大の藤原教授による「核廃絶をするためには、一人ひとりの考え集め、グループの考えとして国会議員に訴えて(ロビー活動)政策などを変えて行くことが重要だ」という提言がありました。実際に、アメリカでは、すでにそのような活動が行われており、最近、大幅に軍事費の削減が行われるようになったとのことでした。

そして・・最後に「核廃絶をしていくためにはどうすればいいか」ということを、日米の参加者一人ひとりに書いてもらったところ、やはり日本人の多くは、「話し合いの大切さ、お互いにわかり合おうとする姿勢」を書いた人が多かったようです。アメリカ側は初めには「核廃絶はできない」という半数くらいの人が1/3になっていました。私が心を打たれたのは、番組中一環して「核廃絶はできない」と強固に発言していたアメリカ人の23歳大学生が「pray」(祈る)と書いたことでした。この彼の考え方は「祈るしかない」という意味ではなく、後ろ向きではなく、前向きに考えて、彼がこれから平和につながる活動に向けて行動していくことだと私は思いました。

「眼には眼を、歯には歯を」の考え方では、永久に地球上には平和は訪れない、という思いをもう一度確認した番組だったように思います。そして、一人ひとりの思いと行動で、歩みは遅くても「世界の平和」を達成できるようにも思いました。そのカギは家庭教育・学校教育での「平和教育」だとも思いました。

by eastwaterY | 2008-08-09 09:45  

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