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幼子の言葉(7月15日)

先日選挙事務所のお手伝いに行った時、同じテーブルで生後8ヶ月の男児連れの若い母親のAさんとシール貼りの作業をしました。そのテーブルでは他の2人の方と子育てのこと、生き方のこと、市会議員活動などいろいろ話し合う中で、Aさんが突然こう言われたのです。「私はね、この子に”お母さんと結婚したい!“といわれるのが夢なんですよ」と。そのとき、私も息子が4歳の時に、こういうことがあったのを思い出しました。

この一文は、今から20年前に私が書いたものです。(昨年の2月25日にも書いているので、それを読んでいらっしゃる人には二重なってしまいますが・・・)

我が家の一人息子は、昨年のクリスマスイヴの日に4歳になったばかりです。
 近頃しきりに「お母さん、ボクが大きくなったら結婚しようね」と言います。「Kくんが大きくなる頃には、お母さんはおばあちゃんになるからダメよ」と言っても「いいよ。そのときにはボクがおじいさんになっているから」と、年齢差は全く頭に入れていない発言。 
 私と息子の年齢差は並大抵ではないのです。なにしろ、結婚20年目にして、やっと授かった子どもで、そのとき私は41歳でした。生来、楽天的な私は、心はいつまでも18歳のまま。でも、顔のしわや皮膚のたるみは、やはり実年齢。
それでも息子は「お母さん。かわいいね~」と言ってくれるのです。
 ところで、先ほどの結婚の話の続きです。「Kくんと結婚するとお父さんが一人でかわいそう。お父さんは誰と結婚しての?」と尋ねると「そうじゃね~。Tちゃんがいいね~」と、当年とって8歳のお嬢さんの名前をいいます。(以下略)

この話を8ヶ月の坊やのお母さんにしたら、「わー!私もそう言われたい」と感激されていました。その後、テーブルを囲んでいる人たちと盛り上がり、「4歳くらいの子どもは、まだ数のこと、時間の経過のことなど分からず、今、現在の自分のことしか分からないから、こんな可愛いことがいえるのよね」という話になりました。

7月7日付け中国新聞朝刊に「七夕の願い」と題した一文が掲載されていました。5歳息子を持つ母親が書いたものです。昨年の七夕には、病床にあった祖母の快復を祈り、息子さんから「おばあちゃんのびょうきが、なおりますように」と書いてほしい、と言われたとのこと。しかし、その後息子さんの願いもむなしく7月10日には彼女のお母様は亡くなられました。そして、今年の七夕には・・・・・・彼女は息子がどんな願い事をするのかと思っていたら、「てんごくにいったおばあちゃんがいきかえりますように」と書いて、と息子さんは言ったとの事。そこで、彼女が「おばあちゃんにちょっと遊びにきてもらったら、どう?」と尋ねたそうです。 すると息子さんは「おばあちゃんは死んで、とうめい人間だから遊びに来ても分からんでしょ。生き返らんとだめなんよ」といったそうです。彼女は5歳の息子の頭の中はとても複雑だとおもいつつ、「七夕の日、夢でもいいから生き返ってこれますように」と願いながら短冊に書いた、ということでした。息子さんは、おばあちゃんが住んでいる田舎に行くと、田んぼや畑で働いているおばあちゃんの傍で、いつもミミズを探したたり、バッタを追い掛け回したりして、おばあちゃんが大好きだったそうです。

私がなぜこの一文を切抜きしていたかというと、わが息子が4歳のときは「おかあさん、けっこんしようね」と、ただ無心に思っている時期なのに、1歳上のこの5歳の息子さんは、現実的には(とうめい人間というのは現実にはありえないけれど・・・)、祖母の死を受け入れことができる、という子どもの成長の早さ。そして、「生き返らんとだめなんよ」という息子さんの切実な言葉。祖母の死を受け入れてはいるものの、まだ「生き返ってこられる」と思っている幼さに「おばあちゃんに生き返ってほしい」という彼の切実な願いの強さを感じ、胸がキュンとなったからです。

わが息子も私の実母が大好きでした。母が76歳のときに生まれた遅い孫でした。私が社会人入学をした1年間、母は我が家に来て小学校1年の息子が学校から帰ってきたときに「お帰りと迎えてくれる」ことを1年間続けてくれました。その母は、16歳の息子がオーストラリア留学中に亡くなりました。帰国後彼は、自宅ではなく弟の自宅にあるおばあちゃんの遺骨がある仏壇に直行しました。今でも、ときどき彼は「江原啓之さんにみてもらえるとしたら、おばあちゃんが亡くなるときに、どう思っていたのか知りたい」と、私の実母のことを語り、できれば会いたいようです。一見、20歳代の若者が、そう語るのは幼く思えますが、そう語るたびに「自分を愛してくれた人がいた」ことを彼は感じることができるのですから、母との日々があって本当に良かったと思います。

先述の新聞の一文を読み、つい思い出したことを書いてしまいました。

by eastwatery | 2007-07-15 16:28  

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