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過労自殺を引き起こす労働環境(5月18日)

昨日の中国新聞の1面に「過労自殺6割増66人」大きな見出しで報じられていました。それによると、過労自殺を含む精神障害の認定自殺者数が増加との事。年代別では働き盛りの30代が40%を占め突出して多かったそうです。

これは、長時間労働や成果主義の徹底などで職場が余裕を失い、一人一人が自分のことで手一杯になっており、同僚を気遣ったり、助け合ったりする雰囲気も薄くなっているというのが現状だと企業社会論の研究者は言っています。

精神障害の労災認定で30代が多いのは、景気低迷でこの世代の採用数が絞られ、少人数に負担が集中しているからだと、その理由が述べてあります。また、最近は、女性が過労で鬱病になるケースも目立っているとの事ですが、これなどは悪い意味での「男女均等」になっているということです。現在の40歳前後の女性が大学卒業した頃(すなわち、1990年前後、女性は総合職と一般職に分かれました。総合職の女性の場合は、「女性が男性並みに働く」という意味の総合職であったため、独身を通す人や、結婚・出産後、あまりの過酷な職場の状況に退職をせざるを得ないということが生じました。結局女性にとっては、「女性」ではなく職場では「男性」を求められたのです。女性が過労で欝になるというのは、よく理解できる話です。女性の「産む性」を否定的に捉える企業感覚では、いつまでたっても有能な女性がその能力を発揮することはできないと思うのです。

話が横道に逸れました。経済のグローバル化により企業が正社員をぎりぎりまで削るために一人当たりの仕事量が増えるのでしょう。その上、成果主義による競争で他の人も頼りにくくなる・・・・・結果として責任感のある人ほど、仕事がさばけず行きつまりを感じてつぶれていくということなのでしょうか?このようなことに歯止めをかけるには、どうすればいいかということは、上司の目配りではないか、と言うこと。まだ、夫が企業戦士の時代に自分の課の、夫より10歳年下の人が「朝、出勤しようにもできない」という状態になられたことがありました。かなり症状が改善されたときに夫二人で彼の家を訪れたことがありましたが、今、思うと彼の症状は欝でした。今でこそ「登校拒否」の言葉を真似て「出社拒否症候群」などといわれますが、まさにそうでした。本人は「出勤しなければ・・・」と思いつつも、体が動かないということだったのです。夫と親しくしていた人だっただけに心配しましたが、その後しばらくして出社されるようになりました。その当時では、こういうことは珍しいことでした。まだ、職場環境は良かったのだと思います。

中国新聞の社説で「上司が仕事の振り分けやバランスに配慮する、辛そうな部下には気を配る」を心がけ、企業としては「社内にカウンセリング窓口を設け、上司に言いにくいことをカウンセラーに聴いてもらうようにする」などを提言していました。

以前は、企業ではプロジェクトを組んで仕事をしていました。そうであれば、お互いに助け合ったり、お互いを気遣ったりできる雰囲気もありました。その頃の『日経ビジネス』
に「現代のエリートは、仕事をするときに『この人のためなら、何でもできる』と思う部下が何人いるか、という人である」と書いてあったことを思い出しました。お互いが、お互いのために仕事をしていくという土壌があれば、過労死をする、過労による自殺は起きないと思います。 日本の企業は、もう一度「働く」ということを考え直してみる必要がありそうです。「人」が会社の一番の「宝」だと思います。

by eastwatery | 2007-05-18 23:05  

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