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「叱る」とは?(1月21日)

「和民」の経営者である渡辺美樹さんは「『叱る』とは、相手の幸せを形にすること」だといっています。彼が言っている「叱る」というのは、ただ感情的に「怒る」のではなく、その行為に対して注意するだけではなく、相手が「叱られる」ことによって、これから先、少しでも良い方向に向かっていくようにするということだと思います。これは「叱る」根底に相手に対する「愛」がなければできないことです。また、もう一つは、相手に対して肯定的な感情、相手を受け入れる気持ちがなければ「『叱る』とは、相手の幸せを形にする」ということは、できないと思うのです。

実際に彼が抜き打ちでチェーン店をチェックに行く場面がありましたが、彼が言っていることが確実に実行されていました。コメンテーターが渡辺さんの手法を「アメとムチを使い分けている」といいましたが、そのような言葉で言い表せるような、取り組みではありませんでした。

突然ある店に行って、いくつかの料理を味見をしてみて、例えばフライなどの揚げ物が未熟であれば、すぐにそれを注意するという風に、数種の料理がどのように駄目なのかを厳しく注意し、もう一度やり直したものを食べて確かめるということをしていました。問題に対しては厳しく対応しますが、店を出るときには店長を呼び「店長になって何ヶ月か?」と尋ねた後、笑顔で「今日は揚げ物のことだけで、後はスタッフの行動も笑顔と返事がいいし、店の雰囲気がよかったよ。じゃあね!」とちょっと肩に触れて笑顔で帰っていきました。この方法は、見ている私でも「叱られている」とは受け取られませんでした。「アドヴァイスをしていただいている」というような気持ちになりました。

渡辺さんは、小さいときから両親から愛情をいっぱい受け、中でも母親には溢れるほどの愛情があることを数々してもらったという思い出あるとのこと。しかし、その母親は、彼が10歳の時に病死したそうです。そのときには母親の焼いた骨を持って逃げ、死のうと思ったくらいのショックを受けたとのこと。その後、父親の事業失敗による倒産などで辛酸をなめましたが、祖母がとにかく愛情いっぱいで彼を育てくれた環境の中で、将来を計画的に考え、今に至ったそうです。

彼は居食屋の「和民」だけでなく、郁文館夢学園を経営しています。それは「人生の目的や目標がなく、ただ勉強をして、有名な大学や企業に入っていく子どもたちを見て、大きな危機感を持ち、このような状態で人生にイキイキとした喜びを感じることができるのだろうか?」と疑問を感じ「これは本当に正しい姿なのだろうか?」と思ったそうです。彼がこの学園を設立したのは「子どもたちの幸せだけのために学校はある」という彼独特の哲学が背景にあるのです。

彼はこう言います。「この学校では、「夢」教育を徹底して行います。それは、自分が本当にやりたいことに向かって勉強できる人間になってもらいたいからです。その結果、有名大学へ進学したり、海外へ留学したり、専門的な知識を身に付けるために専門学校へ行くことや、就職をすることも全て良いことだと思っています。それは皆、「夢」に向かって、自ら決めたことだからです。郁文館では、子どもたち一人ひとりが主役なのです。」と。

渡辺さんは、ニュース番組にもコメンテーターとして出演していますが、最近では、教育再生会議の委員もしており、自分の意見を委員会に反映させるべく、熱心に取り組んでいます。今日の新聞に「再生会議は、教育論の場というより委員が政治的アピールの刺激の強さを競うリングのように見える」と書かれていました。しかし、私は渡辺さんや義家さんの意見などをマスコミを通して知る限り、そのようには思えないのです。彼らは「子どの心を知り、気持ちを知って」この会議で発言しているのですが、結果として出てくるのは文科省の考え方が提示されているところもあるのではないか、と思っているのです。

また、渡辺さんは、平成16年には「高齢者の人に少しでも幸せに過ごしてもらいたい」という思いから介護付き老人ホームを設立しました。彼が何か始めるときには常に「○○の幸せのために」という思いがあるのです。それは、彼が常に愛された環境の中で成長して来たことにあるようです。いろいろなことにかかわっているため、睡眠時間は少なく激務になっていますが、「全部自分のやりたいこと、好きなことをしているので、ぜんぜん辛いと思ったことはありません」と彼は言います。「自分が金持ちになるため、有名になるため、権威をもちたいめに・・・・」というのではなく、ひたすら「○○の幸せのために」と他者の幸せ願うことを目的として生きるところに、彼の幸せがあり、健康があるのだと思いました。「人のために生きることが結局は自分のためになっている」。これが渡辺さんから学んだことです。

今日のテーマは「叱るとは?」でしたが、「叱る」ことの中にその人の生き方があると痛感しました。

by eastwaterY | 2007-01-21 19:01  

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