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見えるものより、見えないものを大切に(1月19日)

 今週の「AERA」の同志社大学のPRページにすばらしい人、心に響く言葉が載っていました。

 すばらしい人とは、知能に重い障害を持つ子どもの施設「止揚学園」を開設し、今もリーダーとして奮闘しておられる福井達雨さんです。

 彼は、高校時代にお母様をなくされました。遺言は「見えるものより、見えないものを大切に」
という聖書の言葉だそうです。彼は経済基盤が弱い止揚学園を苦労しながらも、既に43年経営されているのです。

 重い知能障害をもっているために天井裏や土蔵に閉じ込められていた多くの子どもに会い「この子たちを閉じ込めたのは親ではなく、冷たい周囲の日本人たち。その"たち"のなかに僕もいた」と気づき、この子らに謝らんといかんと思ったそうです。謝るというのは言葉ではなく行動で示す事だと考えたことが、この止揚学園の始まりとのこと。

 そして・・・43年たった今、彼はこういっています。
「この人たちと生きていると、真理って単純なものやと思う。僕は65歳を過ぎて、この人たちの言葉が少し分かるようになった気がします」

 例えば、犬の食べ物を横取りするカラスを追い払うと「カラスさん、はよ食べや」と声をかける。
実習生が靴のかかとを踏んで歩いていると「靴がいたい、て、泣いているよ」と悲しそうな顔をする。

 それは、この人たちが、弱い、カラスや靴などの立場でものを考えているから、と福井さんはいわれます。

 ものすご~く純粋な発想と言葉だと思います。この純粋さというのは、幼いときには誰でも持っているような気がします。

 わが息子が5歳の時です。大好きで長い間履いていた靴がぼろぼろになったので、私が「もう、新しいのと替えようね」といった事がありました。息子は、靴に手紙を書いて土に埋めるというのです。

 手紙には「ぼくのくつ、、よくはかしてくれてありがとう」と書いてありました。文法的にいえば、
おかしいかも知れません。でも、それには、彼の靴に対する愛情と感謝の気持ちが表れております。その手紙を書いた後、彼は丁寧にその靴を洗って私と一緒に穴を掘り、靴を葬りました。

 私はそのとき、とても感動したことを憶えております。書いた手紙の文章もそうですが、もう一つは、これから穴に埋める靴を一生懸命洗った事です。大人の発想からいえば、どうせ埋めるのでだから、そのままで穴に入れると思います。大人でも、そうでない人もいると思いますが、少なくとも私の発想はそうでした。

 大人になるにしたがって、このピュアな心を失い、だんだん世間に対して上手く立ち回るようになってしまうということ。生きていくためには必要なこともあるけれど、少しでも止揚学園の子どもたちのような気持ちを失いたくないと思います。

by eastwaterY | 2006-01-19 22:53  

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