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企業戦士とその家族(4月11日)

仕事から離れて1カ月以上が過ぎました。
毎日とは言わないまでも、時間がある限り、これまで未整理のまま置きっぱなしになっていた書籍、文書、講演の原稿や資料、新聞への投稿文等を分野別に分けてファイルに分けたり、破棄したりしています。時には、過去に書いたものを読みふけったりするので、整理に時間がかかっています。

そういう中で、12年前に書いた短文が出てきて、「そういうこともあったなぁ」と思い、ブログに載せることにしました。以下が、その短文です。


自動車メーカーに勤めていた夫は、早朝から深夜までの勤務に加えて、たびたびの海外出張、ひどい時には韓国までの日帰り出張もありました。時差が10時間以上もあるヨーロッパへ出張して夜半に帰国しても早朝からの出勤。

私は、こういう状況に、夫はとても定年まで元気に勤められるはずがない、と思っていました。私たちには結婚20年目、夫が50歳の時に恵まれた一人息子がいます。彼が自立するまでは親として元気でいてほしいという気持ちはあっても、プロジェクトを組んで仕事をしている夫には、普通の生活は無理な話だし、夫も「仕事にのめり込んでいる」という表現がぴったりでした。

私は息子が小学生になった頃から、「お父さんはね、いつ死んでも仕方がないほどの働き方だから、お母さんは覚悟しているよ」と言っていました。

今、思えば何と重い事を言っていたのだろうと、自分を責める気持にもなります。

そして・・・・息子が小学校3年生の時の夏のある日、夫は定年を元気に迎えることができました。その時、息子が言いました。「お父さん、死なないで良かったね」と。
私も息子も、もちろん夫も、この日の事を忘れないでしょう。


これを読んで、今更ながら私は何と残酷な事を幼い息子に言ってしまったのだろう、と後悔しきりです。自分の不安な思いを、年端もいかない息子に言ってはいけない、という考えが自分自身の中になかったほど、追いつめられていたのだと思いました。

by eastwatery | 2010-04-11 22:56  

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