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「慈しむ」ということ(2010年4月2日)


今日の広島は、朝から寒い風が吹いていましたが、「さくら便り」では満開宣言がでました。
もう、本格的な春が来たのですね。

雪どけのしずく 一粒こぼれて
君住む遠い町にも 春はもうすぐそこに
重ね合う日々を 慈しむように 季節を歩いていきたい

この詩は、広島の地元紙「中国新聞」に「三瓶山ろく診療所だより」(エッセイ)を5年間にわたって書かれた医師の長坂ひろゆきさん作成の歌詞の一番です。長坂さんは、島根県の片田舎で診療所のお医者さんとして常に患者の立場に立って医療に関わっていらっしゃる日々の出来事をエッセイとして書いていらっしゃった人です。 

最終回では、上記の歌詞に出てくる「いつくしむ」と読む「慈」という漢字について、このように書いておられます。

<「慈」という漢字は、心の上に、小さいものが成長して増える様子を表しているという。冬枯れの寒々とした「心」という大地が再び、生命力を取り戻すことを「慈しむ」という。それは、「命にエネルギーを再び吹き込む事」といってもよいかもしれない。冬ばかりが悪者になっているようだが、そうではない。この冬という季節があるからこそ、枯葉や倒木が栄養となって大地に蓄えられ、冷たい雪は大切な水源となる。
冬こそが春の生命の息吹を生み出すエネルギーの源でもあるわけだ。
「老」いる、「病」む、「死」ぬ、この誰にも避けがたい苦しみを知りつくしてこそ、本当の「生」を享受することができる。とい事実と似ていまいか。>

5年間、長坂ひろゆき先生のエッセイを読んできて、常に弱者の立場に立つ視点と「何事にも、何ものにも対する平等感覚」をもつ内容に毎回心を打たれるものがあり、月2回の、このエッセイを心待ちしていました。

最終回の内容も、冬を悪者にせず、冬が大自然に及ぼす大切な役割を書いておられます。このエッセイに対して、5年の間には多くの励ましや共感の手紙や電話、メールをいただかれたとのこと。そこで、最後に読者への感謝の言葉と共に、この詩の第2番の歌詞が書いてありました。

少しずつでいい やさしい心を 育ててゆけばいい 
涙ももうすぐかわくよ 重ね合う心 
慈しむように 季節を歩いてゆきたい

「重ね合う心」にじ~んとしました。

by eastwatery | 2010-04-02 19:03  

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