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少子化について~杉村太蔵議員の考え方~(1月13日)


「AERA」の1月12月号に、“2009年100人の予言”特集が組まれており、その中の「雇用崩壊で格差広がる時代に―「はたらく・格差」について、杉村衆議院議員の一文が掲載されていました。彼は「政府の婚活支援で若者に希望を」というタイトルで、現在の少子化対策について不満を感じて一文を寄稿しているのです。

現在、育児負担を軽減する政策は、子育て支援策に過ぎない、と彼は批判しています。そして、彼が少子化対策の第一に挙げているのは「婚姻数を増やすために厚労省や少子化担当大臣主催のお見合いパーティーの開催」です。いわゆる国を挙げて「婚活」を支援すべきだと訴えているのです。雇用と少子化の問題は同じで、安定した雇用があって、初めて婚姻数が伸び、子どもが生まれる、と言っているのです。

まあ、そこまでは誰でもわかることだし、今更、国会議員から提案されなくても、誰でも考えられることでしょう。(しかし、国がそのようなことをするのは、おかしい)。その次のパラグラフで彼は非正規労働者の増加は、男の自信を奪うといい、自らも同じ体験をしていることを示し、明日はクビかもしれない状況で「俺について来い!」とは言えないと強調しています。

それ以後の内容は、雇用政策の大きな改革の必要性を訴えています。(訴えているだけでどんな改革なのかまったく記述なし)。そして、非正規雇用社員が会社の都合で転々と職場を変えるようでは、企業は助かるが、日本の未来はどうなるか?と憂いているのです。その後の彼の提案は、自分の結婚式も地味婚であったことを書き、結婚式を質素にすることを提案してからの一文は終わっています。これが結論でしょうか?

このような内容の文章を若い衆議院議員が大きな写真入りで、大きなスペースを取って「はたらく・格差」というテーマで書いていることが、私には不思議です。あまりにも内容が勉強不足なのです。

一番私が驚いたのは、まだ30代の初めにもかかわらず彼には「男女共同参画社会」や「ワーク・ライフバランス」の視点が全くないことです。「非正規労働者の増加は、男の自信を奪う」ということ。彼がここで「人間としての自信を奪う」というのであれば女性も含まれますが、彼の場合あくまで職業の場にこいては、「男」なのです。その次には、「俺について来い!」という考え方です。今や、夫婦共働きは当然だし、そうしなければ若い世代は出産・育児もできない状況にあるのです。しかも働くといっても女性の場合、ここまで経済状況が悪くなくても、35歳以上の女性は、よほどの技術・技能を持っているか、専門職でなければパート、派遣労働しかなく、男性以上に正社員の位置を得るのは難しいのです。

この現実を彼は知っているのでしょうか?非正規雇用社員の問題は「男の問題」ではないのです。「男女の問題」なのです。もともと非正規雇用社員の問題は女性の多くがパート労働であることからも分かります。挙げ句の果てに、彼は政府による「お見合いパーティの開催」を挙げ、彼自身の地味婚の体験を語って、重要なテーマである「はたらく・格差」への寄稿は終わっています。

がっかりです。すべて誰でも分かっていることを書き、政府による「婚活パーティー」の提案をする、現在の格差は、そのようなのんびりしたものでしょうか? もっと激しく政府・企業に改革を迫ることはできなかったのでしょうか? 明らかに国会議員として勉強不足です。

また「AERA」にしても、なぜこのような彼の一文を堂々と掲載したのでしょうか? 私は民主党を特別支持するというほどのものではありませんが、TVの討論会などで発言する民主党の山井和則議員と杉村議員との、あまりの相違に、国会議員とは何なのか? と思っています。山井議員は国会議員になる前、松下政経塾で学んでいるとき、福祉をテーマとしていました。彼は特別養護老人ホームで寝たきりのお年寄りの気持ちを知るために、1週間お年寄りと同じように紙おむつを身に着け、その辛さ、気持ち悪さを体験する中で高齢者のこと、福祉の在り方を論じた本を出版しています。

今でも彼のその姿勢は変わらず、討論番組を観ても納得できる意見や提案をしています。

「AERA」の編集部は、同じ若い世代でも(山井さんは30代後半くらいでしょう)大事なテーマの特集に、なぜ山井国会議員ような人取り上げなかったのでしょうか? 不思議な気持ちと同時に腹立たしい感じです。

by eastwaterY | 2009-01-13 23:37  

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